『恋人たち』(立原正秋/角川文庫・絶版)
すみません、絶版本です。。
この古ぼけた文庫本。
私が何度となく開いた証。
すみません、絶版です。
アマゾンさんで、中古で売っているかもですー。
「おまえ、何歳なんだよ」という声が聞こえてきそうです。
はい、41歳、バツイチですよー。
この本は、私が先輩かいただいた貴重な一冊です。
昭和の作家さん。
凜としたたたずまいが美しい男らしい作家さんです。
たしか、昔、この小説はTBSテレビで、ドラマ化されていたと思います。
主人公は根津甚八さん、ヒロインは大竹しのぶさんだったかな。
破天荒に生きる主人公とそれを支えるヒロインの硬派な恋愛が主軸になっています。
もちろん、ふたりの愛はとても美しいのですが、
今回は、脇を固める主人公の弟「六」について語らせていただきます。
六は子どもの頃、何者かに誘拐され、
主人公や家族と生き別れになっているのです。
六は少年院、刑務所を出たあと、女衒(ポン引きのようなもの)になるのですが、
その生き方が過酷で美しい。
ペニスには自分の情婦の名前を入れ墨して、
情婦が多すぎて、女たちの名前は、胸などにも彫られている強者です。
最終的に、六は男にもてあそばれつつけた舞台女優と一緒に住むのですが、
その描写があまりにも真摯で、清冽。
ふたりの会話にはいつも愛の火花が走ります。
「おい、あんた、今日、おっぴろげていいかい」
なんて破廉恥な言葉も、女優にとっては宝石のような響きを持って突き刺さるのです。
強い男を書かせたら、抜群の力を発揮する著者。
彼が紡ぐ繊細でどう猛な男たちに胸キュンです。
本当に強い男とは・・・
最近、男性が優しくなっていますね。
それはとてもいいことですが、ときおり、
「この人で本当に大丈夫?」と不安になることもあります。
もちろん。
強がっている男性や、ただ野蛮な男性は、いつの世にもいます。
でも。
相手のことを死にものぐるいで守ろうと、
男気を見せる男性は少なくなってきたのではないでしょうか。
(もろ、おばさん的発言です。お許しを・・・)
口当たりのいい言葉や、辛口コメントの得意な方はいらっしゃいます。
でも、無口でもいいんです。
やるときに、やってくれれば。
女はそれだけでついていくものではないでしょうか。
あ。
書評からずいぶん離れてしまいました。
失礼しました。
追伸
続編の『はましぎ』は本編より美しいと、個人的に思っています。
ではー。